私は子供の頃から読書が好きで、小説を図書館で借りたり、自分で購入したりしながらよく読んでいます。
けれど成人したばかりの頃、「ノンフィクションの本を読んだ方が良いよ」と知人に言われました。
小説は意味がない、ビジネス書や自己啓発本を読んだ方が自分のためになる、という話をよく耳にしますが、本当にそうなのでしょうか。
その答えは「NO」です。ネット上でも様々な見解が述べられていますが、「どんな本でも読まないよりは読んだほうが良い」と、読書好きな私は思います。
どんなジャンルの本でもそれぞれメリットがあるからです。結論から言うと、読書で小説を読むことは「悪」ではないのですよ。
今回は小説好きな私だからこそ言える、小説の良いところや悪いところなど、小説読むことについて徹底的にご説明していきます。
読書は小説だと意味ないと言われる2つの理由
冒頭でもお伝えいたしましたが、読書は小説だと意味がないのかと聞かれたら、答えは間違いなく「NO」です。
小説にだってメリットはたくさんありますし、ビジネス書や自己啓発本を読むことだけが「読書」ではありません。
そもそも読書とは、「書物を読むこと」「本を読むこと」を意味します。単刀直入に言ってしまえば、どんな本であっても、本を読めば「読書」となるのです。
それではなぜ、「読書は小説だと意味ない」と言われてしまうのでしょうか。その理由について調べてみましたので一緒に見ていきましょう。
フィクションだから意味がないと思われてしまう
「小説だと意味ない」と言われてしまう大きな原因として、「小説はフィクションだから」という理由がネットでは多くあがっていました。
フィクションって何が面白いのですかね ただの作り話ですよね
Yahoo!知恵袋
小説は、著者の方が作り出す、架空の世界を舞台とした創作です。
そのため、創作であるフィクションを読むことに抵抗を覚える人も少なくありません。
とはいえ、現実世界では起こりえないことを表現出来る小説に、魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。
私が小説を読む時はいつも、フィクションだと承知しながらも「現実にありそう」と想像しながら読んでいます。
ハラハラドキドキしながら、時には涙を流しながらも「フィクションだからこそ面白い」と思うことも多いです。
しかし残念なことに、小説は読み終わってしまえば「はい、終わり」となってしまうのも事実です。
「やってみよう」「チャレンジしてみよう」と思える何かを得られたかと聞かれたら、返答に困ってしまうことが多いのが、小説の特徴でもあります。
一方でビジネス書や自己啓発本の場合、自分の迷いや悩みに対して「どう行動するべきか」という、答えや提案が書かれていますよね。
「△△をやってみたら〇〇に変わった」「■■をやってみたら上司に褒められた」というような、実践出来そうなことが書かれています。
読み終わった後に「よし、やってみよう」「チャレンジしてみよう」と思える情報が載っているので、参考にされる方も多いのではないでしょうか。
私もいくつかのビジネス書を読んできましたが、新しい発見や再認識した情報、明日やってみようと思える情報を身に付けられた経験があります。
明日の自分を変えるために勉強したい、という方はビジネス書が最適と言えるでしょう。
また、ノンフィクションのエッセイ本も同様で、読むことで自分の考えや価値観が左右されることがあります。
リアルな実体験に触れることで「自分も頑張ろう」と前向きな気持ちになれたり、「気を付けよう」と危機感を覚えることがあるからです。
実体験はどんな言葉よりも説得力があります。実際にその行動を起こした人がどんな結果を得たのかを、知ることが出来るエッセイ本に興味を持つ人が多いのです。
TV番組の「しくじり先生 俺みたいになるな!!」が人気な理由も、実際に起こったリアルなお話を、面白おかしく説明しているからではないでしょうか。
このように、小説はフィクションで、「読んで終わってしまう」という特徴から、意味がないと言われてしまうのです。
勉強ではなく娯楽だから
「小説はフィクションだ」というお話をしましたが、フィクションで有名なメディアの中には「漫画」や「映画」なども含まれています。
あなたは、漫画を読んだり映画を見ることについてどんな印象を持っていますか?
例えばお子さんが、漫画ばかり読んでいたり、毎日のように映画を見ていたらどうでしょう。
「たまには勉強してみたら?」とついつい口にしてしまうこともあるかもしれませんね。
映画はともかく、漫画を読むことに良い印象を持っていない人も多いですよね
私はどちらのメディアも好きですが、「小説は勉強になるか」と聞かれたら首をかしげてしまうかもしれません。
漫画や映画、小説などのフィクションでも、様々な知識を得ることは出来ます。
ですがどちらかと言えば、雑学的な知識に偏ってしまうのが特徴です。
また、フィクションとして描かれている世界での知識のため、どこまで本当のことなのか不確定な情報になりがちです。
仕事で役に立つスキルや、人生をより良くするために起こすべき行動など、自分の生き方を左右するような情報は小説には載っていません。
そのため「勉強にならない」または「ただの娯楽」と言われてしまうのです。
小説と漫画の違いってなんですか?小説も漫画も娯楽ですよね?何が違うんですか?
Yahoo!知恵袋
実際にネットでもこのような声が多く、小説を読む意味についての議論されている方も多くいらっしゃいます。
それじゃあやっぱり、読書は小説以外を選ぶべきなのかな?
「小説は意味ない」と言われてしまう2つの理由を聞くと、「確かにそうかもしれない」と納得してしまう部分があります。
ですが冒頭でもお話したとおり、小説は「悪」ではありませんし、意味がないなんてことはありませんよ。
小説を読むか迷っている方や、読んだことが無いという方は、次にご説明する話をぜひチェックしてみてくださいね。
読書では小説より自己啓発本を選ぶべき?
ビジネス書や自己啓発本を読んでいる人を見ると、「かっこいい」と思うことがよくあります。
仕事に前向きに取り組むためだったり、さらに高みを目指していたりと、今の自分には無い部分を、本で学ぼうとする姿がかっこよく映るのでしょう。
それではやはり、読書をする時はビジネス書や自己啓発本などの、小説以外を選ぶべきなのでしょうか。
答えはやっぱり「NO」です。読書とは自分が読みたいと思った本を読むことに意味があるのです。その理由について詳しくご説明していきますね。
どちらを読んでも結果は同じ!
例えばあなたが、知人からあるビジネス書を渡されて「この本、絶対読んだ方が良いよ!」と言われたとします。
その本のタイトルや内容が、自分に合っていなかったり、難しくて理解出来なかったとしたらいかがでしょう。
その本には役に立つ情報が確かに書かれているのかもしれません。
ですが、理解出来なかったり、自分には受け入れられないものだったとしたら、あなたにとっては何の意味もないものとなってしまいます。
それでは逆に、あなたが知人に「面白いから」と言って小説を紹介したとしましょう。
けれど、知人は読まないかもしれませんし、読んでも面白いとは感じないかもしれません。
このように、本のジャンルにも好みがあり、内容が自分に合うか合わないかは、個人の性格に左右されます。
極端な例をあげてしまいましたが、結局のところ、本は読まなければ意味がないのです。
そして実際に読んでみて、あなたがどのように感じたのかが一番大切、ということです。
本のジャンルは関係ありません。興味が湧いて読んでみた本が、あなたの胸に響いたかどうか、あなたがどのように感じたかが一番大切、ということです。
ビジネス書や自己啓発本は、確かに役に立つ知識が書かれているかもしれません。
ですが、その知識が自分のためになるものかどうかは、読んでみなければ分からないことです。
難しそうなビジネス書や自己啓発本を読んでみて「読めない」と諦めてしまうよりも、すんなりと物語に入り込める小説が良い場合もありますよ。
「小説だから」と言って避けるくらいなら、まずは気軽に読んでみることをおすすめいたします。
読書は心のサプリメント
「本を読む」ということが好きな方もいれば、苦手だと思う方もいると思います。
私は子供の頃から読書が好きだったので、小説でもビジネス書でも、自己啓発本を手にすることも多いです。
けれど我が家の主人は、文字ばかりの本を読むことに抵抗があるようです。
本来「本」というものを手にしたくない性格なのですが、それでも小説やビジネス書を手に取る時がごくまれにあります。
本当に読みたいと思った作品や、どうしてもその知識が欲しいと思った場合には、読書が苦手な人でも本を手に取るのだと分かったのです。
例えば仕事で失敗してしまった時や、人間関係が上手くいかない時など、「どうするべきか」と悩んでしまう時がありますよね。
そんな時はビジネス書はや自己啓発本の中から、今の自分に合った内容の作品を手にしてみてください。
迷っている自分の背中を、そっと押してくれるような情報にきっと巡り会えるはずです。
また、「なんだか疲れてしまった」「何も考えたくない」と思う方は、小説を手にしてみてはいかがでしょう。
創作の世界では現実には無い興奮や感動を味わうことが出来ます。少しだけ現実から目をそらすことで、心を落ち着かせることも可能ですよ。
小説を読んだことが無い、という方は、まずはこちらの記事をチェックしてみてください。
どんな小説を選べば良いのか、選び方の基準や最後まで読み切る方法についてもご説明していますよ。
読書とは、自分に不足しているものを満たしてくれる存在です。
「必要な時に必要な分だけ」なんて、まるで心のサプリメントのようですね。
ぜひあなたも、自分に合った本を見つけてみてくださいね。
読書好きな私が4つの小説をおすすめします!
ビジネス書や自己啓発本だけではなく、小説を読むことにも意味があるとお分かり頂けたでしょうか。
それでもやっぱり、フィクションである小説を読むことに抵抗があるという方は、こんな小説を読んでみてはいかがでしょう。
私が今まで読んできた小説の中で、「勉強になる」「出会えて良かった」と思った作品を4つ程厳選いたしました。
実際に役に立つ知恵や、現実とリンクしている情報など、フィクションとして楽しめながらも、読み終わった後でも心に残る作品ばかりです。
電子書籍でも購入出来ますので、気になった方はぜひ、概要欄をチェックしてみてくださいね。
万能鑑定士Qの事件簿
「面白くて知恵がつく 人の死なないミステリ」というキャッチコピーのミステリー小説です。
コミカライズ化や実写映画化をしている人気作品なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
あらゆる物をその身ひとつで鑑定する「万能鑑定士Q」の店主・凜田莉子が、様々な事件や謎を解決していく、というお話です。
この小説の面白いところは、実際に使えそうな知恵がたくさん紹介されているところです
主人公の凜田莉子は高校生の頃、体育・美術・音楽以外の成績がオール1という、進学も卒業も、出来たのが奇跡的な成績問題児でした。
感受性が人一倍強く、何事にも熱心なのが取り柄ではあります。
ですが、作中でもはっきりと「バカである」と書かれているほど、危なっかしい性格の女の子だったのです。
しかし、とある人との出会いによって、彼女は変わっていきます。
勉強の仕方を覚えていき、次第に膨大な量の知識を見に付け、そして「万能鑑定士」と成長していきました。
その勉強の仕方というのが、私達でも実際に真似出来る「役立つ知恵」そのものなのです。
作中のテーマである「ロジカルシンキング」は、ビジネスシーンでも重要視されているスキルなんですよ
「ロジカルシンキング」とは、論理的思考という意味で、筋道を立てながら物事を考えていき、矛盾のないように結論へ導く考え方のことを言います。
自分の考えを伝えやすくなったり、問題解決能力が上がったりと、ロジカルシンキングを学ぶメリットもたくさんありますよ。
小説で詳しいトレーニング方法を紹介している訳ではありませんが、ロジカルシンキングに興味を持った方は、ぜひ一度読んでみてください。
また、ビジネスシーンだけではなく、口下手で悩んでいる方や、発言に説得力を持たせたい方にもおすすめですよ。
ちなみに、作品の中で私が特に印象に残った知恵が「計算の方法」です。
私は暗算が苦手で、紙に書いたり、計算機を使わないと正確な答えを出すことが出来ません。
ですが「万能鑑定士Q」の2巻を読んだ時、頭の中で数字を分けて、簡単にしてから暗算をするという方法があると知ることが出来ました。
実際に、暗算が得意な主人に聞いてみたところ、まったく同じではないにせよ、似たような「計算の方法」を使っていると言っていました。
このように、実際に学ぶことが出来るうえに、面白い知恵がたくさん身に付く小説です。
もちろん、ミステリー作品として楽しむことも出来ますので、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
また、「特等添乗員αの難事件」や「探偵の探偵」など、著者の松岡圭祐さんが手掛ける他の作品とクロスオーバーしています。
こちらの作品でも役に立つ知識を学ぶことが出来ますので、併せてチェックしてみてくださいね。
ビブリア古書堂の事件手帖
「万能鑑定士Qの事件簿」と同じ時期に人気を集め、ドラマ化や映画化も果たした、古書にまつわるミステリー作品です。
実在する小説や作家さんのお話、プレミアが付いている古書のタイトル、古本の競りについてなど、本好きにはたまらなく興味が沸く内容となっています。
著者の三上延さんは実際に古本屋さんで働いていたことがあり、その時の経験をもとにこの作品を書いたそうです。
最初は「古本がどうやってミステリーと繋がっていくのだろう」と不思議に思っていました。
ですが実際に読み進めてみると、本の内容や出版された年代などが物語と深く関わってきて、単純な「本を巡って起こる争い」では無いところが面白かったです。
例えば、一番最初のストーリーでは夏目漱石の「漱石全集」が題材となっています。
主人公・五浦大輔の祖母の遺品で、夏目漱石のものと思われるサインが本に書かれていたため、購入元のビブリア古書堂へ足を運びました。
サインは偽物と判明したのですが、そのサインには五浦大輔自身にも大きく関わる、ある重大な秘密が隠されていました。
「漱石全集」が販売されていた時代、キーポイントとなる8巻「それから」の内容、そして偽物のサインの真実が「ある秘密」で繋がっていきます。
すべてが繋がっていく様子も読んでいて気持ちが良かったですが、作中で出てきた本を読んでみたくなるところがこの作品の魅力です。
実際に、こちらの作品が発売されていた当時、作品に出てきた古書の復刻版が再販されたり、売上が伸びたりしたそうですよ。
フィクションでありながら、現実と絶妙にリンクしている描写は読んでいて面白いですよね。あなたもぜひ一度ご覧になってみてください。
犯罪者
テレビドラマ「相棒」シリーズの脚本家・太田愛さんのデビュー小説です。
当初は「犯罪者 クリミナル」というタイトルでしたが、改題して「犯罪者」という作品になりました。
内容は同じなので、重複して購入しないようご注意くださいね
何気ない平日の昼下がり、一人の少年が待ち合わせのために駅前広場を訪れたところ、通り魔に襲われてしまうところから物語が始まります。
4人が刺殺されてしまう中、負傷しつつも生還した少年・修司は、搬送先の病院で見知らぬ男性に「あと10日生き延びてくれ」と言われます。
通り魔事件は始まりに過ぎず、修司はその後、何度も命を狙われることとなります。
事件の調査で病院に訪れた、はぐれ者の刑事・相馬と、相馬の友人であるフリーライターの鑓水、3人で事件の謎を追っていく、というストーリーです。
物語の冒頭から息を飲む展開となっていて、息をするのも忘れてしまいそうになるくらい、夢中で読み進めた思い出があります。
この作品は「犯罪者」という物騒なタイトルですが、犯罪をテーマにした作品では無く、「組織の闇」について取り上げられている作品です。
上下関係や派閥争いなど、どんな職場でも起こり得ることですよね。
ですがそれが大きな組織となると、たとえ些細なことでも、関係が無いと思われる人達にまで影響が広がってしまうかもしれない、と深く考えさせられました。
大きな組織と対峙した時、勇気を出して「NO」と言えるのでしょうか。そんな内容の作品です。
修司・相馬・鑓水の掛け合いが楽しく、まるで映画や漫画を見ているみたいに登場人物が際立って見えたのは、今まで読んできた小説の中でも珍しいことでした。
「犯罪者」「幻夏」「天上の葦」の三部作となっているので、三人の掛け合いを長く楽しむことが出来ますよ。
残虐なシーンもあるので苦手な方もいらっしゃると思いますが、一気読みしたくなる名作です。ぜひご覧になってみてください。
光の帝国
ちょっと疲れてしまった時、こんな優しさ溢れる作品はいかがでしょうか。
「六番目の小夜子」「蜂蜜と遠雷」など、数々の有名作品を生み出している、恩田陸さんの作品です。
全10編の短編集、と思いきや、表題にもなっている「光の帝国」という章ですべてが繋がっていく構成となっています。
私が初めて本屋さんで購入した思い出深い小説で、ちょっと不思議な力を持つ一族について描くファンタジー小説です。
「超能力」を持って生まれたものの、他人には受け入れてもらえないことが分かっているので、力があることを隠さなければいけません。
ですが、思春期の訪れにより覚醒したり、どうしても力を使わなければいけなくなった時に生まれる、葛藤や苦悩が繊細に描かれています。
彼らは「常野一族」と呼ばれていますが、常野とは一体どんな存在なのでしょうか。
その答えが、「光の帝国」で描かれています。彼らのルーツや力について明らかとなり、終盤にかけては温かな感動に包まれ、涙なしには見られません。
「光の帝国」という固い印象を受けるタイトルに反して、優しさや哀愁が漂う世界観が魅力的な作品です。
現実離れしているように思えますが、「もしかしたらどこかでこんな力を持った人々が生きているかもしれない」と想像しながら読んでみるのも楽しいですよ。
また、ちょっと疲れてしまった時には、こちらで紹介している「ナミヤ雑貨店の奇跡」もおすすめします。
「自分の何気ない行動が、誰かの希望になっているかもしれない」と思える、温かなストーリーです。併せてチェックしてみてくださいね。
まとめ
- 小説は「フィクションだから」「娯楽だから」という理由で意味がないと思われてしまう
- 読書とは、自分が読みたいと思った本を読むことに意味がある
- 小説でもビジネス書でも自己啓発本でも、自分の胸に響くかどうかが大切
- 本のジャンルにも好みがあり、求める知識や興味が沸く内容は人それぞれ
- 読書とは心のサプリメントのようなもの
- 小説にも勉強になる本がたくさんある
読書について調べていくと、小説を読むことについて疑問に思っている方がいるのだと、改めて知ることが出来ました。
読書が苦手な方は仕方ないまでも、「時間の無駄に感じてしまう」という声も上がっていて、小説好きとしては寂しくなってしまいました。
ですが今回ご紹介した内容が、小説を読むことをためらっている方に、少しでも響いて頂けたら幸いです。
まずは漫画を読むような気軽な気持ちで、ぜひ小説を読んでみてくださいね。