絵本『かいじゅうたちのいるところ』は、3歳頃の未就学児から小学校低学年におすすめの絵本です。
私は小学校の図書館司書をしていますが、特に男の子に人気がある印象ですね!
子ども心に共感しやすい主人公と、怖いけど憎めないかいじゅうたちの姿が、想像力をかきたてる文章と繊細な絵で描かれています。
文章自体は多くなく、読み聞かせにもおすすめの一冊です。
この記事では、『かいじゅうたちのいるところ』を読んだ子どもたちのリアルな感想や、読み聞かせのポイントをご紹介します!!
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絵本『かいじゅうたちのいるところ』は、1963年にアメリカで出版されて以来、世界中で2000万部売れているロングセラー絵本です。
出版の翌年には、アメリカの児童図書館協会が、その年の最も優れた絵本に授与する「コールデコット賞」を受賞しています。
作者はアメリカの絵本作家であるモーリス・センダックで、日本では『いるいる おばけがすんでいる』というタイトルで1966年に翻訳されたのが最初です。
その後、1975年に神宮輝夫さんが翻訳した『かいじゅうたちのいるところ』が、冨山房より出版されました。
この『かいじゅうたちのいるところ』が、今、私たちのよく知る絵本なのですね。
見た目は少し怖いけど、なんだか憎めないかいじゅうたちと、非日常への冒険が、この絵本の魅力です。
文章自体は多くなく、すべて、ひらがなとカタカナで書かれています。
幼児への読み聞かせや、小学校低学年の初めて一人で読む絵本としてもオススメの一冊です。
私も子どもの頃から読み親しんでおり、特に歳の近い兄のお気に入りだったことを記憶しています。
主人公が男の子なので、なんとなく男の子の方が親近感が湧くのかもしれませんね。
想像力をかきたてる魅力的なあらすじ
『かいじゅうたちのいるところ』は、主人公マックスの非日常への冒険が描かれています。
ある日、おおかみの着ぐるみを着たマックスが家で大暴れしていると、お母さんに「このかいじゅう!」と怒られてしまいます。
それでも言うことを聞かないマックスは、とうとう夕ご飯抜きで寝室に放り込まれるのです。
さて、皆さんもこんな可愛らしいかいじゅうの相手をすることがあるのではないでしょうか?
勢いにのった子どもたちは、まさにかいじゅう・・・。
大人が読むとそんな風に思ってしまうこの物語は、ここから大きく展開していきます。
放り込まれた寝室に、なんと木が生えてきて、壁は消え森になり、波も打ち寄せて、マックスの船を運んできます。
マックスは船に乗り、1年と1日航海して、いよいよかいじゅうたちのいるところに到着しました。
かいじゅうたちは初め、マックスを脅かしますが、腹を立てたマックスが「しずかにしろ!」とかいじゅうたちを怒鳴りつけ、かいじゅうならしの魔法を使います。
マックスに恐れ入ったかいじゅうたちは、彼をかいじゅうたちの王様にするのです。
かいじゅうたちとマックスは「かいじゅうおどり」をして楽しい時間を過ごしますが、マックスはふとさびしくなって、やさしいだれかさんのところへ帰りたくなります。
そして、泣いて別れを惜しむかいじゅうたちに別れを告げて、また1年と1日航海をして・・・寝室に帰ってくるのです。
そこには、ほかほかと温かい夕ご飯が用意されていました。
最後はきちんと家に帰ってきて、さらにご飯も用意されている、安心できる終わり方です♪
お母さんに怒られていたマックスが、かいじゅうたちには偉そうに「しずかにしろ!」って言ってしまうのが、なんとも子どもらしくて笑ってしまいます。
王様になったマックスは、夕ご飯抜きでかいじゅうたちを眠らせたりもするのですが、これもそっくりお母さんの真似ですよね。
子どもは知らず知らずのうちに親の口癖を真似たりすることがよくありますが、マックスの行動もそうなのかなと思います。
真似するうちに思い出して、「やさしいだれかさん」のところへ帰りたくなったのかもしれませんね♪
子どもたちのリアルな感想!読むなら3歳頃からがおすすめ
『かいじゅうたちのいるところ』は、3歳頃からの子どもにおすすめの絵本です。
文章量が多くないので、短い時間で読み聞かせができ、子どもたちもお話に集中していられます。
しかし、3歳程度の子の中には、かいじゅうの絵が怖いと感じる子もいるようなので、注意が必要です。
もともと、怪獣や妖怪といったものを怖がるタイプのお子さんは、時期を見てあげた方が良さそうですね。
私の勤務先では、低学年の児童に人気があり、小学生でも楽しめる絵本だということがわかります。
ここで、勤務先の小学生たちに聞いた感想をご紹介しますね♪
部屋に木が生えてくるのが面白かった!!マックスは、何日も船に乗ってお腹が空かないのかなと思った。
保育園でも読んだことある!!はじめは怖かったけど、今は大丈夫になったよ。
「かいじゅうならしのまほう」ってどんなのだろう?マックスはもっとかいじゅうたちと一緒にいてあげればいいのに。
最後に家に帰れて、ご飯もあって、よかったなって思った!!
「マックスみたいに、大暴れすることある?」と聞くと、「ないよ~!!」と言いながら笑っていました(笑)
小学生になると、この絵本を知っている子どもが多いのですが、何度読んでも面白いそうで、借りていく子が絶えません。
子どもたちは、それぞれの目線で絵本を楽しんでいることがわかりますね♪
子どもが安心して楽しめる行きて帰りし物語
絵本作家であり、様々な絵本の翻訳もしている児童文学研究者の瀬田貞二さんは、幼い子どもに人気な物語を「行きて帰りし物語」と解説しています。
しょっちゅう体を動かして、行って帰ることをくり返している小さい子どもたちにとって、その発達しようとする頭脳や感情の働きに即した、いちばん受け入れやすい形のお話ということになりますと、ただ一つのところでじっとしているんじゃ、こりゃ話になりません。
とにかく何かする、友だちの所へ行ったり冒険したりする。そしてまた帰ってくる。
そういう仕組みの話を好むのは、当然じゃないでしょうか。
引用 『幼い子の文学』 瀬田貞二著/中公新書
「行きて帰りし物語」とは、主人公が非日常への冒険を経て、きちんと元の日常に帰ってくる物語のことです。
代表例で言うと、『ピーター・パン』がありますね。スタジオジブリの『千と千尋の神隠し』も、行きて帰りし物語の形式をとっています。
そして、『かいじゅうたちのいるところ』も、この行きて帰りし物語に該当するのです。
危険があったり、怖かったり、スリルのある冒険をしても、最後に帰ってこれる安心感があると、子どもは心配することなく、物語を純粋に楽しめます。
『かいじゅうたちのいるところ』は長く愛される秘訣は、このようなところにあるのかもしれません。
また、非日常ではなくても、子どもたちにとって初めての場所、経験は冒険に等しいのではないでしょうか?
そんな「日常における大冒険」を描いた絵本の例として、筒井頼子さんの『はじめてのおつかい』があげられます。
引用 『はじめてのおつかい』 筒井頼子作/福音館書店
みいちゃんという小さい女の子が、お母さんに頼まれて、初めて一人でおつかいに行く話で、私も子どもの頃に大好きな絵本でした。
よく知った道を歩いておつかいに行くだけですが、途中で車が通ったり、お金を落としてしまったり・・・みいちゃんの不安がこちらにも伝わってきます。
最後は、きちんとお母さんのところへ帰れて、子ども心にすごくホッとしたことを覚えています。
みいちゃんのように「はじめて」を経験する機会の多い子どもたちは、きっと毎日が大冒険なのでしょうね。
子どもたちに絵本を与える際は、この「生きて帰りし物語」を意識して選ぶのもオススメですよ。
読み聞かせでは絵もしっかりと見せるのがポイント
『かいじゅうたちのいるところ』を読み聞かせする際は、繊細な絵をしっかりと見せてあげましょう。読み聞かせの所要時間は5分程度です。
私はよく小学1年生に向けて、この本の読み聞かせをしますが、あえてゆっくり読むようにしていますよ。
『かいじゅうたちのいるところ』は、絵に対して文章の量が少ない絵本です。
このおかげで、子どもたちは短い時間にぐっと集中して本を楽しむことができるのですが、読み聞かせだとあっという間に終わってしまいます。
ページをめくった後は、ほんの一瞬でいいので間をおいて、子どもが絵を観察する時間を作ると良いでしょう。
特に、途中見開き3ページ分ほど、絵だけのページがありますが、ここもゆっくり見せてあげてくださいね。
絵から読み取ることはもちろん、絵では語られていないところまで、子どもたちの想像力は膨らみます。
読み聞かせが終わった後は、裏表紙までしっかりと見せるようにすると、物語の余韻が残せますよ♪
CD付き英語絵本は英語の学習にも役立つ
『かいじゅうたちのいるところ』は、英語日本語CD付きの英語絵本が販売されており、学習にも最適です。
小学校の授業にも英会話が導入され、幼い頃から英語の学習を始めるお子さんも増えていますよね。
読んだことのある絵本ならば、子どもたちがより気軽に英語に慣れ親しむきっかけになるのではないでしょうか。
こちらの絵本には、英語と日本語の両方入ったCDがついており、一文ずつ交互に読んでくれるので、理解しやすく、オススメですよ♪
まよなかのだいどころは作者のもう一つの代表作
『かいじゅうたちのいるところ』の作者であるモーリス・センダックのもう一つの代表作に『まよなかのだいどころ』があります。
こちらも、不思議な世界観の絵本で、子どもたちのお気に入りです。
『かいじゅうたちのいるところ』よりも、お話の筋が抽象的なので、大人からは読んでもよくわからないという感想が多い印象があります・・・。
しかし、子どもたちはこの不思議な世界観が大好きなのです!!
文章もリズミカルで面白く、読んだ後に、歌うように絵本の中の一節を繰り返し唱えている子も見受けられます。
不思議な世界観を味わいたい方は、ぜひこちらも読んでみてくださいね♪
まとめ
- 絵本『かいじゅうたちのいるところ』は、1963年の出版以降、世界で2000万部以上を売り上げているロングセラー絵本で、未就学児や小学校低学年に人気。
- 母親と喧嘩して寝室に放り込まれた主人公マックスが、かいじゅうたちのいるところを訪れる、非日常の冒険が描かれた絵本。
- 『かいじゅうたちのいるところ』の対象年齢は、3歳頃からだが、中にはかいじゅうの絵を怖がる子どももいるので、注意すると良い。
- 幼い子どもは、冒険に行った後、元の場所へ帰るという「行きて帰りし物語」の展開を好むことが多く、『かいじゅうたちのいるところ』もこれに該当する。
- 読み聞かせをする際は、ゆっくりとしたペースで、しっかりと絵を見せるのがおすすめ。特に文章のない見開き3ページは、子どもが絵を観察する時間を設けると良い。
- 『かいじゅうたちのいるところ』はCD付き英語絵本も販売されており、英語学習の際にも役立つ。
- 『かいじゅうたちのいるところ』の作者のモーリス・センダックの著作には『まよなかのだいどころ』という絵本もあり、リズミカルな文章で子どもに人気。
世界的ロングセラーである『かいじゅうたちのいるところ』、学校司書としては幼い頃に一度は触れてほしい絵本の一つです。
もしかしたら子どもたちは、マックスのようにたくましい想像力で、日常の中でも冒険を繰り返しているのかもしれませんね!!
素晴らしい絵本を、ぜひ、子どもたちの想像力の翼を広げるきっかけにしてくださいね♪
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