5歳児におすすめの絵本は心を育むもの、学べるもの、メッセージ性のあるものです。
5歳といえば日常生活の中で色々と吸収し表現力や想像力などが豊かになり、文字に興味を示したり自分で物語も作れるようになる時期です。
しかし反面、中間反抗期と言われ外では良い子でも家では口ごたえをしたり、反抗的な態度を取ったりする難しい年齢でもありますよね。
そんな5歳の子供たちに合った絵本選びの大事なポイントは「心を育む」絵本を選ぶことです。
こちらの記事では、元書店員で児童書担当の私が親子で楽しめたり、面白くて夢中で読んでしまう5歳児さんおすすめの絵本を紹介しています♪
また絵本の選び方のポイントについてもわかりやすく解説しています。
絵本選びの正しいポイントをしっかり押さえて、親子で一緒に絵本の世界を楽しみましょう♪
元書店員が選ぶ絵本5歳児向け3選をご紹介!
図書館や本屋にはたくさんの絵本があり、どれを選んで良いか迷いますよね。
子どもの成長段階に合わないと物足りなさを感じて、すぐに飽きられてしまいます。
難しいと思っていた絵本選びはポイントをおさえれば簡単に選べますよ。下記に良い絵本の特徴を5つにまとめました。
・声に出した時の言葉の響きが美しい
・繰り返しのリズム感がある
・普段の会話にはない豊かな表現がされている
・絵を見ただけで物語が分かる表現力がある
・絵や文章が子どもたちに理解しやすい表現をしている
文章と絵がうまく合わさってひとつの作品になり、うまく調和している事が必要です。
主題がしっかりしていると子どもたちに分かりやすく、関心の高いテーマであればさらに絵本の世界を楽しめますね。
この良い絵本の特徴5つを踏まえた上で、元書店員の私が人気ロングセラー絵本、面白い絵本、思いやりを育てる絵本からそれぞれ1冊ずつおすすめの絵本を紹介いたします。
親子で読める定番絵本はいつの時代も人気者♪
パパもママも知っているロングセラー絵本は、子どもとコミュニケーションが取れます。
「このシーンがすごく好きだった」とか「このシーンはハラハラドキドキして怖かったよ」など絵本を通して親子の会話ができます。
あらためて絵本を読んでみると、子どものころに気付いていなかったメッセージが分かり楽しいですよ。
ロングセラーの絵本は親子で一緒に絵を見て楽しめ、コミュニケーションが取れますよ。
とはいえ、たくさんの絵本がある中で、どれを選べば良いか迷いますが、5歳におすすめの絵本を紹介します。
ぐりとぐらはお料理すること食べることが何より好き
『ぐりとぐら』作:なかがわりえこ 絵:おおむらゆりこ 【福音館書店】
のねずみのぐりとぐらが大きなカステラを作ります。
青い帽子のぐりと赤い帽子のぐらは世界でも愛されているロングヒット絵本です。お料理することと、食べることが何より好きなふたごのねずみのお話です。
パパとママも子どもの頃に大好きだった絵本だったのではないでしょうか。読み聞かせ会では、子どもたちに大人気で喜ばれていましたよ。
今でも幅広い世代から支持されている、人気の絵本「ぐりとぐら」の魅力をお伝えします。
・楽しいこと、嬉しいことを分け合う気持ちを学べる
・ぐりとぐらの歌を一緒に歌うと楽しい
・おいしそうなカステラを作りたくなる
ぐりとぐらは森で大きなたまごを見つけますが、そのたまごは大きすぎて運べません。そこでいろいろと考えて、ふんわりとした美味しいカステラを作ります。
カステラができあがると、おいしそうなにおいにつられて、森じゅうの動物たちが集まってきます。
仲間との協力や気持ちを共有する大切さを学べる絵本です。
この絵本を読むとぐりとぐらの作ったカステラを作りたくなりますよ。料理を再現し「ぐりとぐら」の世界を楽しめるのも魅力ですね。
読み聞かせのコツは、お話の中に出てくる、ぐりとぐらの歌です。リズムに合わせて一緒に読んでみましょう。
保育園や幼稚園の読み聞かせでも、この歌をリズムにのって読んでいる先生が多いですよ。
挿絵が大きく文字が少ないので、文字に興味を持ちはじめた5歳におすすめですよ。
一人で読んでも、親子で読んでも楽しい絵本です。
読むと楽しくなる!子どもが面白いと思うユーモアなお話
人は笑うとそれだけで心が軽やかになり、楽しい時間を過ごせ気分が落ち着きますよね。
子どもの笑顔を見ていると幸せな気分になりますよね。子どもにはいつも笑顔でいて欲しいですが、日常生活の中で子どもを笑わせようとするのはなかなか難しいですよね。
イライラしたとき、気分が下がって落ち込んだときに、試しにユーモア絵本を読んでみてください。
声に出して読んでいくうちにいつの間にか心が落ち着き、読み終わるころにはみんな笑顔になりますよ。
読むだけで思わず笑ってしまう絵本を、ご紹介します。
いいから、いいからといつも許してしまうおじいちゃん
『いいから いいから』作:長谷川義史 【絵本館】
おじいちゃんのおおらかさのおかげで、肩の力が抜け笑顔が生まれる一冊です。
・「いいからいいから」とおじいちゃんはなんでも許してしまう
・ついつい一緒に「いいから、いいから」と言ってしまう
・最後はみんなおおらかになり、ほっこりとあたたかい気持ちになる
ある日の夕方、突然カミナリの親子がやってきました。
おじいちゃんは「いいから、いいから、せっかくきてくださったんじゃ、ゆっくりしてください」とおもてなしをします。
「いいから、いいから」と満面の笑みでおじちゃんは、どんな人が来てもどんなことがあっても、いつも言うのです。
でもおじいちゃんから言われると、とても気持ちが良くなって、心がほぐれ優しい気持ちになるので不思議ですね。
読み聞かせ会で読んだ時、何が起きても「いいから、いいから」と言うおじいちゃんに子どもたちは大爆笑、読み終わったあとは笑いが止まりませんでした。
小さなことでイライラしないで、この絵本を読んで笑いましょう!さっきまでのことがどうでも良くなりますよ。
作者の長谷川さんは「まぁええやん」って言葉が好きなのだそうです。「まぁええやん」からできたお話です。
この絵本を読んでから、ちょっとしたことでイライラしなくなりましたよ。この言葉が魔法の呪文なのかもしれませんね。
子どもってすぐ、コップを落としたりしませんか。テーブルや床に飲み物をこぼしてしまうことが多いですよね。そんな時は魔法の呪文をとなえてくださいね。
おじいちゃんのように「いいから、いいから」と言いましょう。イライラしていても良いことはありませんよね。
このお話はシリーズ5まで発行しています。子育てのヒントが詰まっている人気シリーズです。他のお話も一緒にお楽しみくださいね。
5歳におすすめ♪思いやりを気持ちを育てるお話
思いやりとは相手の視点になって考える事です。
ではどうすれば思いやりの気持ちが育つのでしょうか。自分の気持ちを伝えたり、相手が言おうとしていることを理解することで徐々に育ってきます。
思いやりの気持ちを育てるにはどうしたら良いのでしょうか。
人に優しくすること、ものを大切にすること、人だけでなく感謝の気持ちを持つことで思いやりの心につながります。
日頃から大人がお手本になって教えることが大切ですが、お手伝いをしてくれたときに言葉をかけてあげましょう。
「ありがとう」とか「〇〇ちゃんのおかげで助かったよ」と感謝の気持ちを言葉に表すことで、相手がどんな気持ちになったのか想像できるようになります。
絵本の中には思いやりの心を育てる作品がたくさんありますよ。
ただ読むだけでなく、声のトーンやしぐさを付け加えるとより効果的ですよ。
手ぶくろを買いには母ぎつねの愛情が伝わる心温まるお話
『手ぶくろを買いに(日本の童話名作選)』作:新美南吉 絵:黒井健【偕成社】
きつねの親子が町へ手ぶくろを買いに行くお話です。
「手ぶくろを買いに」は新見南吉の美しい日本語のきつねの親子の物語です。
子どもへの愛情が伝わる幻想的で心が温まる絵本です。
寒い冬の日に、子ぎつねの手は冷たい雪でぼたん色になります。優しい母ぎつねは、毛糸の手ぶくろを買ってあげようと、親子で町へと出かけます。
町についた母ぎつねは、急に人間の怖さを思い出し足が進まなくなります。
子ぎつねの手を人間の子どもの手に変え、帽子屋さんへひとりで行かせます。
子ぎつねは、母ぎつねから人間の手を差し出すように、言われていましたが、間違ってきつねの手を出してしまいます。
・きつねの親子と人間との交流を描いた作品
・母ぎつねが子どもを思う気持ちがわかる
・美しい日本語とやわらかな雰囲気の絵に心が温まる
子ぎつね、母ぎつねの思いやり、手ぶくろを売ってくれた帽子屋さんの優しさ。
きつねの親子と、人間の心の交流を描いた名作です。母ぎつねが子どもを思う心が、とても良く伝わってきます。
子ぎつねが手ぶくろを買うシーンはドキドキするので子どもたちは、心配した表情を見せていました。
無事に母ぎつねの元に帰ったときは、ほっとした表情をしていましたよ。
子ぎつねが上手に、てぶくろを買えたときの達成感や、母ぎつねのもとに無事に帰ってきたときの安心感など、どのシーンも丁寧に描かれています。
5歳児のねらいは共感力!選び方の5つのポイントを解説
絵本は子どもの成長に大切なアイテムですよね。
絵本を通して想像力を膨らませ、絵本の人物になりきって言葉や動作をまねてみたり、登場人物の気持ちになって泣いたり笑ったりします。
そうやって絵本を読むたびに、子ども達に共感する力が育まれていきます。
絵本が子どもに与える良い影響は、数え切れないほど多くのものがあります。
(前略)【絵本が子どもに与える5つの効果】
マイナビ保育士「ほいくらし」
1.子どもの精神状態を落ち着かせる
2.子どもの心にいろいろな「栄養」を与えられる
3.子どもが自主的に他者とのコミュニケーションを学べる
4.さまざまなものに対する子どもの好奇心を高められる
5.親子の絆が深いところで結ばれる(後略)
下記にてさらに5歳児に合った絵本の種類とそれで得られる4つの効果を解説いたします。
親子で感想を言える絵本はコミュニケーション能力が育つ
パパとママが子どもの頃に読んだお気に入りの絵本を、選んであげましょう。
お気に入りの絵本を選ぶことで、子どもの頃に読んで感じたこと、面白かったところ、怖かったところ、驚いたところをお子さんと共有できますよ。
また、感情移入できる絵本は読み聞かせにとても役立ちます。
読んでいて笑える楽しいお話や、意外性があり驚くお話は、大人も絵本の世界に入り込め、笑ったり、ドキドキして楽しいですよ。
子どもは気に入ると何度も読みたくなります。子どもが繰り返し読みたくなる絵本は、主に2つの特徴があります。
1.主人公に自分を重ねて日常の中で世界を広げていける絵本
2.言葉の響きに面白さがあり、素直に子どもの心に入っていく絵本
昔も今も子どもたちが好きな絵本は変わりません。難しく考えずにパパとママの好きだった絵本を選んであげましょう。
絵本を通して親子のコミュニケーションが取れるのはとても楽しいですね。親子の会話を楽しんでくださいね。
文字に興味を持ちはじめました。
字を覚えさせたいのでひとりで読ませたいのですが、なかなか一人で読もうとしません。
子どもが文字に興味をしめしても、ぜひ大人の方が子どもと一緒に絵本を読んであげてください。
読み聞かせは、子どもをリラックスさせ、感性を豊かにし、言語能力の向上が期待でき、子どもの成長にとって良い影響がありますよ。
5歳になると言葉でコミュニケーションが、取れるようになってきます。新しい言葉を取り入れ、想像が豊かになり空想の世界を体験し、それを言葉に表現します。
文字に興味を持ちはじめ、自分なりに読もうとします。子どもが自分から読もうとしたときは、励ましの言葉をかけながら見守ってあげてくださいね。
子どもに大切なことは、絵本は楽しいものだと感じてもらうことです。無理に字を教えてひとりで読ませることは、本を嫌いになる原因になります。
読めるところ、読みたいところまでで、良いのです。そうした繰り返しが読書への興味につながりますよ。
興味がある分野の絵本を選べば読みたい意識が高まる
子どもが興味を持っている分野を選ぶのもおすすめです。
習い事でスポーツをしているならそのスポーツのお話の絵本を、昆虫、動物、乗り物に興味があるならその事が題材の絵本がおすすめですよ。
自然をテーマにしたお話は、新しい発見や観察力が身につきます。興味がある分野や、実際に体験したことは身近に感じられ、読みたい意識がさらに高まります。
また将来なりたい職業や憧れていることがテーマのお話も良いですね。
昔話の絵本は理解がしやすく正しい日本語を学べる
昔話の絵本は美しい日本語、適切に使う言葉、正しい言葉遣いを学べます。
今はたくさんの略語が使われ、正しい日本語に触れることが少なくなっています。
昔話はとてもシンプルで、子どもに理解しやすく聞き入りやすいといった特徴があります。
美しい日本語や正しい使い方が学べ、心が温まるお話が多いですよ。絵もシンプルで見るだけで物語が、理解しやすいのでおすすめですよ。
おとぎ話や昔話をまとめた名作絵本は、さまざまな出版社から出ていますが、短くまとめたものはダイジェスト版です。
子供の成長段階にあった絵本を選ぶと集中力が育つ
子どもの成長段階に合った絵本選びがポイントです。子どもの成長段階に合わせて選ぶことで、集中力が育ちます。
赤ちゃんに文章がたくさんある絵本は、理解が難しいですよね。逆に幼児に言葉が少なめの絵本は、物足りなさを感じすぐに飽きてしまうでしょう。
また絵本に描かれている絵は年齢に合っているものがおすすめです。
幼児向けの絵本はやわらかな雰囲気で、絵を見ただけで人物の気持ちが、分かる絵本がおすすめです。
後はさがして発見する、まちがいさがし、さがし絵もおすすめですよ。記憶力、観察力、忍耐力が身につきます。
MOE絵本屋さん大賞最新版!2022受賞作品!
全国の絵本屋さん3000人が選んだ「今年もっともおすすめしたい絵本」を決定するMOE絵本屋さん大賞が発表されました。
「MOE絵本屋さん大賞」とは「月刊MOE」が主催する絵本の賞です。
全国の絵本専門店、書店の児童書担当者3000人にアンケートを行い、最も支持された絵本30冊を決定する年間絵本ランキングです。
「今年もっともおすすめしたい絵本」30作品、「新人賞」5作品、「ファーストブック賞」5作品を選定し年に一度、発表しています。
MOE絵本屋さん大賞2022受賞作品大ピンチずかん
2022年度の受賞作第1位は鈴木のりたけさんが作者の「大ピンチずかん」(小学館)です。
牛乳がこぼれた、セロハンテープの端が見つからない、トイレの紙がない、ストローが取れないなどいろんな失敗を、面白く描いた絵本です。
大人になってみれば小さなことでも、子どもからみれば大ピンチなんですよ!
子どもが世の中で出合うさまざまなピンチを「大ピンチレベル」の大きさと、5段階の「なりやすさ」を紹介しています。
あらゆるピンチもこの絵本があれば乗り切れますね。
いろいろピンチに対応できます。子どもの強い味方になります。家に一冊あると、とても便利ですよ。
まとめ
- 絵本選びは良い絵本のポイントをおさえれば簡単に選べる。
- 人気のロングセラー絵本は昔も今も変わらない。繰り返し読みたくなる。
- 読むと楽しくなるユーモア絵本はいつも笑顔で過ごせるのでおすすめ。
- 思いやりを育てるには、相手の気持ちを理解することや感謝の気持ちを表現している絵本を選ぶのがおすすめ。
- 大人と子どもが一緒に楽しめる絵本を選ぶことで、親子のコミュニケーションが取れる。
- 子どもが興味を持っている分野を選べば読みたい意識が高まる。
- 昔話の絵本は正しい日本語を学ぶ事ができ、お話が分かりやすく子どもが理解しやすい。
- 子どもの成長段階に合った絵本を選ぶと集中力を育てられる。
- 毎年、絵本の専門店、書店の児童書担当の方が選んだ絵本ランキングが発表されている。
大人と子どもが一緒に楽しみながら読むことで、コミュニケーションが取れて親子の絆も深まりますよね。
特におすすめなのはロングセラーの絵本と、昔話の絵本です。
ロングセラーの絵本は昔も今も変わらず子どもたちに人気で、繰り返し読みたくなります。
子どもの頃に読んでいた絵本を改めて読んでみると、その時には感じなかったメッセージに気が付きます。
昔話の絵本は美しい日本語や正しい使い方を学べ、心が温まるお話が多いです。絵もシンプルなので見るだけで理解しやすいですよ。
私は、読み聞かせで子どもの頃に読んだ絵本を読み、声の強弱、少し声を変えてみたりと楽しく読みました。
感情を移入することで物語が伝わりやすく、子ども達と絵本の世界をさらに楽しめますよ。
読み聞かせ会で子ども達は、面白いお話のときは笑顔で明るい表情、少し悲しいお話ときは、心配した表情をしていました。
子どもは素直に物語に入っていきます。そんな姿を見るのも読み聞かせをして、良かった思います。
成長段階に合った絵本を選ぶことで、表現力、想像力や集中力を育てられます。そして人や物に対して感謝の気持ちや優しさを持ち、思いやりの心が育ちます。
なかなか言葉では表現しにくいことを絵本で学べるのも嬉しいですね。
とくに、5歳の子どもは言葉の表現力、文字に対しての関心や興味を持つようになります。日常生活の中でいろいろなことを吸収し心の変化が芽生える時期です。
体だけでなく心が大きく成長する、5歳に合った絵本を選んであげてくださいね。
絵本を通じて親子の楽しい時間を過ごしましょう。